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闘魂 サバイバル生活者のブログ

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美しい国の現実(リアル)

美しい国の現実(リアル)…選挙戦を前に


まもなく選挙戦がはじまる。安倍の信任を問うはじめての選挙だ。久間の原爆発言で選挙の争点が少しぶれてしまった。また確かに年金問題も問題だが、やはり争点の核心は新自由主義路線が生んだ格差だろう。ということで読了した平舘英明「死活ライン 美しい国の現実(リアル)」から著者の言葉を引用して行く。

…格差と貧困の広がりで、憲法25条の精神はますます重要になってきている。弱肉強食社会から、人々が安心して暮らせる社会をつくるには、新たな「改革」に向けてのうねりを起こす必要がある。そのためには政治の改革も必要不可欠だが、国民の生命を守るのははたして軍事力なのか、それとも社会保障制度なのか。私たち国民一人ひとりの良識が問われている…

こいつが著者の最後の結びの言葉だ。時代は25条どころではなくなっている。問題が錯綜していて、いっそのことリバタリアン=ベーシックインカムでいいやってな感じだった。だから、しっくり来ない部分もあるが一応引用。

…バブル崩壊後、生活拠点を海外にシフトして労働者を大量リストラする一方で、海外の安価な労働力との競争で賃金は切り崩された。そして、労働分野に市場原理を導入し、労働者の保護規制をことごとく破壊したことが、間接雇用の爆発的広がりと、不安定低賃金労働者の増加を生んだ。それが、公共サービスを担う非正規職員、介護・福祉労働者、タクシーやバス、トラックの運転手、中小業者など多くの職種で貧困が広がった要因だ…

本書ではこの見取り図を裏付ける具体的な事例が紹介されていた。ひとことで言ってしまうとこれだけのことだが、具体的な事例はためになった。というか具体的な事例の中にこそ真実があり、一般の共感を得ることのできる、市井の人の矜持や尊厳が詰まっている。いい年をして抽象的な言葉を弄する安倍やその一味にはわからないだろうが…。

…労働者の生活基盤を保障するためには、最低賃金を底上げし、ピンハネ業者だけが利益をむさぼる派遣や請負に歯止めをかけ、間接雇用を臨時的・一時的就労に限定すべきである。財界が主張する「多様な働き方」の本質は、「多様な働かせ方」であることを認識しなければならない。現在、労働者が求めているのは「多様な働き方」ではなく、雇用の安定と、生活ができる賃金の保障だ…

財界の主張する「多様な働き方」の本質については、著者はもっと語りたいことがあるようだが、最終章のまとめの部分だから抑制的な書き方になっている。財界がカネで政策を買うことの是非をナントカすべきだ。最高裁は八幡製鉄所事件で企業による政党への献金を問題ないと判断したが、いまでも説得力を感じない。

…小泉構造改革以降、政府が進めてきた新自由主義路線によって、労働分野だけでなく、福祉や教育分野まで市場の競争原理が持ち込まれた。従来の福祉国家は「大きな政府」で非効率とされ、国が本来果たすべき役割をことごとく縮小していった…社会保障制度の解体で所得の再分配の機能が失われ、貧困のすそ野は確実に広がっている…

…また、「小さな政府」による「民営化」政策は、中央と地方の格差を広げている…地方の人たちの「生存権」が脅かされつつある。住民が土地を離れ、高齢化した町はやがて廃墟となり、人間の手が加わらなくなった自然は荒廃する。大都市部の一極集中ではなく、地方の均衡ある発展こそが国を豊かにすることを忘れてはいまいか…


いうことは何もありません。著者は理にまさっている印象。ところで、昔、首都移転とかやってたのを思い出した。いまと比べると当時はまだ政治も牧歌的だった。強行採決がフツウになったからね。いつの間に行政府が立法府のエートスをないがしろにしていいとなったんだろう。安倍はわかってるんだろうか、自分のやったことが。文字通り日本の憲政史に残る汚点だ。日本の恥である。

…保険料負担も応益ではなく、所得に応じた応能負担にすることが「公平かつ公正」であり、応益負担が導入されている障害者自立支援法も抜本的な見直しが必要だ…

能力に応じて負担する、必要に応じて給付する。これこそ以前からこのブログでも主張してきたことだ。ましてや応益負担を障害者へ拡張適用するなんてありえない政策でしょう。政治家や官僚というのはまったく信じられないわ。自分たちのテキトーな仕事のつけである1000兆円の財政赤字の負担を国民に押しつけるのだってひどい話だが、障害者に応益負担を求めるなんて鬼畜としかいいようがない。小泉=安倍の本質をこれほどよくあらわしている政策は他にない。

やつらは人間ではない。鬼畜である。

みなさん、選挙に行きましょう!!


2007年7月8日 根賀源三


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